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日本人と英語
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日本人の大半は英語が苦手である。
別に英語ができなくても、日常生活で困ることはないからだ。
必要がなければ勉強もしない訳で、当然の結果といえよう。
中国人も英語は苦手だが、海外で活躍している中国人は多い。
中国は人口が多いから、英語の喋れる割合が日本と同じだと仮定すれば、海外の中国人が多いのも納得できる。
だが日本人よりも比率的に多いのは説明がつかない。
いったい何が違うのだろうか?
中国の国内で普通に働いて金持ちになる可能性があるだろうか?
月給は2万~5万円くらい。
車を買うなど、夢のような話である。
成功するチャンスなど、ほとんど皆無と言えよう。
おまけに子供をたくさん作りたいと思っても、一人っ子政策というものが阻む。
幸せになりたければ海外に出るしかない。
潜在的に国外脱出願望が高いのである。
台湾はどうだろうか?
台湾は中国に侵略されるかもしれないという恐怖がある。
通貨(ニュー台湾ドル)をいくら持っていても、国がなくなれば紙切れとなる。
怖くて自国通貨など所有したくないだろう。
当然ながら外貨準備高が高くなる。
私は以前フィリピンに行ったことがあるが、アメリカドルや日本円でも買い物ができた。
この国も台湾と同様で、自国通貨への不信感が根強い証拠だろう。
さて日本はどうだろうか?
成功のチャンスはありそうに思えるが、実はそれほどでもないのである。
税金を1000万円以上納付した人を「高額納税者」と呼ぶが、これを「成功」の指標としよう。
だいたい3000万円以上の年収と言ってもいいだろう。
バブル期の日本には、高額納税者は15万人以上いた。
2005年以降はは公示されていないので現在の数は不明だが、因みに2004年は7万4千人だった。
これを日本の人口1億2千万人で割ってみると、
7万4千人 ÷ 1億2千万人 = 0.0625%
つまり残りの99.9375%は金持ちではないのである。
考え方を変えて、分子と分母を逆にしてみよう。
1億2千万人 ÷ 7万4千人 = 1622
つまり1622人に一人しか金持ちはいないということである。
東京ドームの野球の試合で4万人の客が入ったとしても、25人しか金持ちはいないのである。
横浜350万人のうち、金持ちはたったの2158人である。
残りの340万7842人は非金持ちなのだ。
これで成功の可能性が高いと言えるだろうか?
高校生(特に女子)しか通じない「ギャル語」という言葉がある。
ある狭い範囲のコミュニティーでしか通じない言葉を作りたがる気持ちは分かる。
人々はそういう言葉になると一生懸命覚えようとするが、どうして英語をやらないのだろう?
答えは簡単だ。
めんどくさいからである。
ギャル語ならいくら変形していたとしても日本語なので、方言の一つだとでも思って覚えればいい。
つまり楽なのだ。
英語は努力しないとマスターできないから、苦しいのである。
日本人はめんどくさがり屋である。
努力は嫌いな国民性である。
「日本人は勤勉で優秀である」
と信じて疑わない人間もいるが、これこそまさにヒットラーのナチズムと同様、「民族優秀性」を説いているに過ぎない。
この言葉の裏には
「外国人は日本人ほどは優秀でない」
と言っているのと同じである。
全くもって「井の中の蛙」と言えよう。
では日本人がめんどくさがり屋と断言する理由は何か?
一例を挙げてみよう。
例えば車の車検をどうしているだろうか?
自分で陸運局に行って手続きをしている人は何人いるだろうか?
私は自分で陸運局に車を持っていって車検を行った事は3回ほどあるが、わずか1時間ほどで完了する。
仕事を半日休んでいけばいいだけだ。
昔は陸運局の連中の応対はメチャクチャで、質問にもろくに答えてくれなかったが、今は懇切丁寧に書類の書き方まで手伝ってくれる。
自分でやればものすごく安い費用で済むことが、めんどくさいからできないのである。
車検は国の手続きであり、基本的な検査(オイル漏れ、ブレーキング、灯火類、排気ガスなど)は陸運局でやってくれる。
車の安全性に不安があれば、オートバックスでもディーラーでもいいので、別の日に行って検査してもらえばいいのだ。
少々脱線するが、陸運局に行って驚いたのは、外国人の多さである。
外国人の主婦も目立つ。
恐らくディーラーに行ってあまりの法外な金額に驚いて、「こんなアホな商売あるか!?」と怒り、自分で車検を通そうとでも考えたのだろう。
しごく当たり前の発想である。
アメリカでは陸運局と免許センターは同じで、どちらもDMVが行う。
DMVのオフィスは1つの市に1つくらいはあり、行くのに時間がかかることもないし、長いこと待たされることも少ない。
個人取引で車を買うのも盛んなので、DMVに自分で行くのは当たり前となっている。
みんなが名義変更や登録費用がいくらかを知っているので、ディーラーで車を買っても高額な手数料をふんだくろうとはしない。
世界の国はアメリカを手本としているところが多いので、自分でやるのが当然となっているのだろう。
海外旅行に行くときは、どうやってチケットを手配するだろうか?
昔は「JALパック」などのパックツアーが当たり前だった。
添乗員がずっと付きっ切りで案内してくれるタイプのパッケージ旅行だ。
集団行動を基本としているので、日本で流行の「個性重視」の影響から、近頃はあまり人気がない。
最近はHISなどで格安航空券を買うのもあるだろう。
インターネットで価格の比較が簡単にできるので、ネット経由で買うことも多いに違いない。
ではガイドブックはどうだろうか?
日本語のガイドブックを、旅行に行く前に日本の本屋で買うのではないだろうか?
しかも「プチ冒険」がやりたくて、他の日本人が行かないようなところを中心に行こうとしたがる。
それに打ってつけの本と言えば、「地球の歩き方」だ。
だから面白いことに、海外の街で会う日本人の多くが「地球の歩き方」を持っている。
「地球の歩き方」に載っていない場所には行かないので、秘境だと思って行っても必然的に日本人に会う確率が高くなる。
なぜガイドブックを現地調達しないのか?
わたしがニューヨークに行く時は、ガイドブックは市の観光局、或いはグランドセントラル駅等の案内所で無料のをもらう。
この手の観光案内にはクーポン券が付いているので、入場料が割引になったり安く買い物もできる。
最新情報を知りたいので、ビレッジ・ボイス(ニューヨークの無料週刊誌)を交差点で探す。
地図は地下鉄の入り口で言えばタダでくれる。
なぜこれができない日本人が多いかと言えば、英語が苦手だからである。
私はドイツに行っても、イタリアに行っても、チェコスロバキア(今はチェコ共和国か?)に行っても、中国に行っても、この方法で情報調達をしている。
英語の情報誌はたいてい調達できる。
もし現地語版のガイドブックしかなくても、努力して読む。
これも旅の醍醐味だろう。
昔イタリアに旅行した際にレンタカーを借りたことがある。
ハーツ・ジャパンのウェブサイトで予約したところ、メルセデスを2週間借りて40万円ほどの見積もりとなった。
一目見てクソ高いと思ったので、同じハーツのアメリカのウェブサイトで予約した。
何と13万円。
3分の1の金額である。
あきれて声も出なかった。
やはり数年前に妹の結婚式でオーストラリアに行った。
私の両親も一緒だったので、船のクルーズを現地で予約することにした。
ホテルにあった現地の英語の雑誌にクルーズを運営している会社の広告を見つけ、電話で予約。
わたしの両親は旅行会社のオプションツアーの日本語のパンフレットを持っていたので、価格を比べてみたところ倍以上の金額。
ツアー内容に違いはない。
当日にツアー船に乗船したところ、日本人の姿も多かった。
彼らに添乗員が付く訳でもないので、私と全く同じツアーなのだ。
きっと高い料金を払ったに違いない。
英語ができないと損をする。
ニューヨークのハーレムにあるアポロシアターのチケットは、事前に昼間にチケットマスターの窓口で購入。
その場で席も指定できる。
夜になってアポロシアターに行き、席についたら後ろに日本人のツアー客が来ていた。
それも添乗員つきで。
私が買ったチケットは$20前後だったと思うが、彼らは$60以上も払っていた。
ホテルからハーレムまでのバスの送迎が付いているが、それを差し引いても高すぎる。
ショーは日本語の解説などない。
添乗員が何のために必要なのか、まったくもって不明である。
アポロシアターは125丁目なので治安も良く、夜に地下鉄に乗っても危険はない。
因みに前回行ったときはレンタカーで、近くに路上駐車した。
以上までの事象に共通しているのは、
- 日本語のサービスは常に高い。
- 英語のサービスは常に安い。
メルセデスをヤナセで買うと高額だ。
安ければ客はたぶん見向きもしないだろう。
また韓国車が高くても見向きもしない。
つまりドイツ製であることが重要なのだ。
ベンツを買う人間は、自動車の性能などどうせ分からないような連中が多い。
見栄がはれるかどうかが選択の基準なのだ。
アメリカ人は価格にうるさい。
世界中の殆どの情報は英語に翻訳されている。
ドイツでの価格もモチロン調査済みである。
だから高ければ買わない。
高ければ自分で輸入してしまう。
アメリカのメルセデスには「ヨーロピアン・デリバリー」という購入方法がある。
簡単に説明すると、まずアメリカのディーラーで購入手続きをし、支払いを行う(ローンでもOK)。
次に自分がドイツに行って車を受け取る。
モチロン新車だ。
ドイツに到着したときには、車はナンバー登録等の手続きが全て終わっていて、ヨーロッパ旅行中の自動車保険も含まれている。
このためキーを受け取ってそのままヨーロッパを旅行できる。
旅行が終わったらディーラーに戻り、車を預けてアメリカに帰国する。
ディーラーはアメリカに車を輸出し、自宅に車が届く、という仕組みだ。
モチロン輸出手続きから、通関手続き、アメリカでの登録費用、自宅までの送料も含まれている。
驚くべきことに、アメリカの店頭での標準価格(MSRP)よりも$3000ほど安い。
ドイツへのチケット代を$3000以下で手に入れられれば、ヨーロッパ旅行が付いてくるということと同じである。
ドイツのチケットは9月のオクトーバーフェスティバルの時期が一番高いが、それでも$3000はしない。
冬場なら$600程度だろう。
しかも驚嘆すべきことは、ドイツでメルセデスを買うより価格が安いことだ。
これならドイツ人でも買いたがることだろう。
アメリカは自由競争の社会である。
当然ながらメルセデス一社だけがこのサービスを展開している訳ではない。
BMWも同じ「ヨーロピアン・デリバリー」という名前で、全く同じサービスを行っている。
同様のサービスは、アウディ、ポルシェなど、ほとんどのヨーロッパメーカーが行っている。
ところで脱線するが、どうしてオクトーバーフェスティバル(10月祭)なのに9月に行われるのだろうか?
日本人が英語を必要と感じなければ、英語力が上がることはない。
日本は先進国から脱落した時に初めて英語が必要だと感じるのかもしれない。
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Feb,8th,2009
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