Skip Navigation Links.
|
中国語のススメ
|
日本人が日常の会話の中で「中国語」と呼んでいるものは北京語の事である。
中国は広い国だから、さまざまな方言が存在する。
北京語、広東語、上海語などの方言は有名だが、これらは日本語で言うところの「方言」と少々事情が異なる。
北京と広東の人がお互いの方言で話したら全く通じないのだ。
考えてみれば中国はヨーロッパより広いのだから、その方言の違いといったら英語とロシア語くらい違うという訳だ。
民族的には国民の95%が漢民族なので文化的な違いは少ないのだが、言葉がこれほど違うといろいろな面において支障が出てくる。
このため中国では北京語を標準語にすることにした。
「中華民国」の首都は南京だったが、面白いことに標準語は北京語を採用したのだ。
正確には北京語は北京や中国東北地方の訛りを含んでいるので、その「訛り」部分を削った「普通話」というのが正確である。
日本でも江戸弁と標準語が違うように、北京の人間が標準語を話している訳ではないことに注意したい。
わたくしの経験から言うと、日本人にとっては英語をマスターするより中国語をマスターする方が簡単である。
理由として、
- 英語はとにかく単語を覚えないといけないが、中国語の単語は発音は分からないにしろ読み書きは既にできるので、苦労して覚える必要がない。
- 英語の単語は複数形、過去形、現在進行形、過去完了形、三単現(三人称・単数・現在形)などさまざまな変化を受けるが、中国語は変化しない。
などが挙げられる。
例えば英語で「夜行性」をなんと言うか答えられるだろうか?
因みに手元の辞書で調べてみると、
「夜行性の」→「noctivagant」「nocturnal」「with nocturnal habits」
などと出ている。
しかしこれらの単語は使用頻度が極めて低いため、英語がかなりできる人でないとこんな単語は知らないかもしれない。
ところが中国語ならどうだろうか?
日本語そのままの「夜行性」である。
あとは発音さえ知っていれば会話ができてしまうのである。
しかも「夜行性」という、かなり高度な単語を使って。
弘法大師が中国に渡ったときに、中国の人々は弘法大師があまりにも中国語が堪能なので驚いたそうだ。
しかし日本人にとってみれば驚くべき事ではないのである。
それで言えば、最近は英語由来の外来語も多いので、英語も同じではないかと反論する意見もあるだろう。
しかし中国語と英語で日本語化した単語の数を比べると、圧倒的に中国語の方が多いのである。
中国語由来の外来語は、もはや外来語だと言う人が誰もいないほど日本語に溶け込んでしまっている。
誰が「原始的」を外国語だと感じるだろうか?
それに比べると英語に関してはまだ溶け込み率が低いが、「サボる」のように「サボタージュ」が動詞化したものもある。
しかしあくまでも隠語的であり、正式文書で使うにはまだ一抹の抵抗感がある。
驚嘆すべきことはニュアンスの違いまで輸入されているということだろう。
例えば「把握」と「掌握」はどちらも「つかむ」という点では似たような単語だが、「掌握」の方は「制御する」というようなニュアンスを含んでいる。
これらの違いを日本人なら、たとえ中国語をまったく勉強したことのない人であろうと肌で感じている。
ある中国語の試験問題で次のようなものがあった。
【問題】 次の( )に当てはまる漢字を選びなさい。
( ) 笑
1.小 2.少 3.微 4.弱
これは日本人にとっては、もはや問題といえるものではないだろう。
小学生向きの問題とでも言おうか。
まぎれもなく一般常識レベルである。
中国語を知っている必要など、さらさらないのである。
この問題の回答は言うまでもなく3が正解だが、この問題をアメリカ人の中国語学生にやらせると、かなりの難問となってしまう。
それに比べたら日本人はスタートラインからして圧倒的に有利であると言えるだろう。
さあ、あなたも始めませんか?中国語。
|
|